代理母出産は合法第一


”子供を実子として戸籍に入れたい”。これは代理母出産を検討されている多くのご夫妻が希望されることだと思います。でも、その心理を逆手にとって、正しくない情報を伝えているエージェントが存在しているようなので、この戸籍の問題を少し説明していきたいと思います。

代理母出産を合法としている国の中で、子供が生まれた後に実子として戸籍に入れることの出来る可能性がある国(場所)は限られています。アメリカのカリフォルニアはその数少ない場所のうちの一つです。ではなぜ代理母出産をする場所によって、実子として戸籍に入れることができたり、できなかったりするのか? その理由は”医師が記入する出生証明書”にあります。

日本の役所に子供の出生届を出す際、外国の役所で発行された出生証明書の他に、出産に立ち会った医師が記入する出生証明書(Medical Birth Certificate)の提出が必要になります。通常、医師が記入する出生証明書には誰が生んだかという事実、つまり代理母の名前が記載されます。日本の法律では産んだ人が母になる、と定められていますので、この代理母を生みの母とした出生証明書を提出しながら、実子として出生届を出すことはできません。ですが、カリフォルニアでは出産に関わった産婦人科医が依頼者夫妻を子供の両親と記した出生証明書を出すことが合法とされているため、実際には代理母出産であっても、公表しない限り実子として出生届を提出することができるのです。ただし、これには例外があります。カリフォルニアで代理出産をしても、依頼者妻の年齢が50歳以上である場合、出生届を提出する日本の役所から出産の事実を確認する為の書類(診察記録など)の提出を求められたり、役所が子供が生まれた病院に事実確認をしたりするため、実子として届け出を出しても受理されないことになります。また稀に、市町村役場によっては妻の年齢が49歳以下でも出産の事実確認をするところもあり、この方法は100%確実というわけではないようです。偽った届け出をしたことが判明し、役所が出生届の受理を拒否した為、子供がアメリカ国籍のまま生活しなければならなくなったという事例もあるようです。

※母親が49歳以下の場合、通常、出生届は「形式審査」(提出された書類審査のみ=出産の事実の確認なし)で受理される。母親が50歳以上の場合、出生届は「出産の事実確認」が法務省によって定められており、診察記録などの審査の後、受理される。

実子として直接子供を戸籍に入れられない場合、大切になるのが”胎児認知”です。日本人父が子供が生まれてくる前に胎児認知をすることで、子供は出生と同時に日本国籍を取得できます。ただ、実子として子供を戸籍に入れようと考えていた場合、胎児認知はしませんので、もしも子供が生まれてから実子としての出生届が受理されなかった場合、そこからその子供の日本国籍を取得するのはとても困難になります。最悪の場合、子供を日本へ連れて帰れなくなるといったケースもあると聞きます。

ちなみに、私はウクライナで代理母出産をしましたが、息子が代理母出産で生まれた事実を示す書類と代理母に関する書類をウクライナの役所へ提出しました。発行された出生証明書の父母の欄には私と夫の名前のみが記載されており、代理母に関する記載はありませんが、ウクライナの役所には代理母の情報が残っています。そして、医師が記入する出生証明書にも”代理母が産んだ”という事実がはっきりと記載されています。これはウクライナにおいて、医師が記入する出生証明書の母親の欄に代理母出産の依頼者(妻)の名前を記載することは合法ではないからです。つまりウクライナで代理母出産した場合、”子供を実子として直接戸籍に入れることはできない”ということです。

せっかく子供が生まれても、日本へ連れて帰れなかったり、日本国籍を取得できなかったりしてはそれこそ一大事です。事前によく下調べをして、あくまでも合法的に代理母出産を進めることが、何よりも生まれてくる子供の為に大切なのではないかと思います。


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